同じ場所に植えると生育が良くなったり害虫を退避させたりする「相性の良い野菜」の組み合わせを一覧で紹介します。
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1つのプランターや狭い畑でも問題なく育つ相性の良い野菜組み合わせのことをコンパニオンプランツといいます。
コンパニオンプランツとは、違う種類の野菜を同じ場所で一緒に栽培することで、「病害虫を抑える効果」「お互いの成長を助ける効果」が出る組み合わせ野菜のことです。
コンパニオンプランツで代表的な組み合わせには「マメ科の野菜とキュウリ」があります。マメ類はキュウリの成長を助長させる効果があります。
1930年代にドイツの哲学者シュタイナーが提唱したヨーロッパの有機農法のなかの重要な分野の一つ「植物の相互作用」というものがあります。
シュタイナーはある植物が別の植物の生育を促進したり抑制したりすることに着目しました。
それ以降から現代まで野菜だけでなくあらゆる植物において様々な組み合わせが研究され続けています。
日本では栗田匡一氏が「共栄植物とその利用」(富民協会)で紹介されています。
寄せ植えという言葉を聞いたことはありませんか。寄せ植えとは、コンパニオンプランツ同士(2種類以上)を同じスペースに植えることをいいます。お互いの生育を促進したり抑制したりする効果が期待できます。
寄せ植えはプランターや植木鉢など限られたスペースで多種目の野菜を育てるために考えられたもので家庭菜園ではメジャーな栽培方法です。
寄せ植えについては別のページでも詳しく説明しているのでそちらも合わせてご覧ください(参考:寄せ植え野菜の組み合わせ)
コンパニオンプランツのメリットは多く、代表的なものでは成長を促進させる効果があります。
生長を助けるコンパニオンプランツの組み合わせは、トマトとラッカセイなどのマメ科の野菜やタマネギとキク科ハーブのカモミールなどがあります。
コンパニオンプランツには病害や害虫を防ぐ効果があります。
例えばトマトとニラ。この組み合わせは萎凋病などの病害を予防する効果が期待できます。
コンパニオンプランツには害虫による野菜の被害を軽減させる組み合わせもあります。
これは野菜が害虫を退治する...というわけではなく、野菜につく害虫が嫌がる種類の植物を近くに植えて退避させるというものです。
例えば野菜ではありませんがアブラムシが嫌がる「ラベンダー」「ローズマリー」をアブラムシが付きやすい野菜の傍に植えると効果的です。
他にはアオムシやヨトウムシはキク科の野菜(玉レタスやリーフレタス・シュンギクなど)を嫌うため、アブラナ科の野菜(キャベツ・カリフラワー・スティックセニョールなど)との混植が効果的です。
その他にもホウレンソウと葉ネギなど、害虫退避効果がある効果が組み合わせがたくさんあります。
野菜のコンパニオンプランツの組み合わせはどのような法則で決まるのでしょうか。
法則1 環境の違いを活かす
野菜の組み合わせは「土」「水」「温度」「肥料」といった生育環境で決まることが大半です。
各野菜の生育環境を知ることが相性の良い野菜かを見極めるポイントになります。
なぜ生育環境で野菜の組み合わせが決まるのかを具体的に見ていきましょう。
野菜を上手に育てるには「土」が不可欠なのは言うまでもありません。ひとことで土と言っても野菜の種類によって育てやすい土質が違います。
例えば乾燥を好む野菜と嫌う野菜とでは育ちやすい土質が違うため混作には向きません。
乾燥を好む野菜には水はけの良い土、嫌う野菜には保湿性の良い土でしかうまく育たないというわけです。
野菜は水がなければ生きていくことは出来ません。とは言え与える水の量も野菜の種類によって違います。
多湿を好むサトイモと多湿を嫌うキャベツを同じプランターで育てると同じ水やり量になるためどちらかが病害になる確率が高まってしまいます。
人間にも「暑さに強い人」と「寒さに強い人」がいるように野菜も最適な温度が違っています。
野菜が育ちやすい温度のことを「生育適温」と言います。寒さに弱い野菜は日当たりがよく風の通らない場所を好みますが、暑さに弱い野菜は日当たりが良くても風の通る涼しい場所を好みます。
プランターで野菜を育てる時は移動させて快適な環境を作ることが出来ますが、生育適温が違う野菜同士を植えているとそれも出来なくなってしまいます。
野菜にとっての食事は「肥料」です。野菜は種類ごとに好みの肥料が違っています。人間でもラーメンが好きな人もいればうどんが好きな人もいるのと似ていますね。
肥料を好む多肥性の野菜と少ない肥料で済む少肥性の野菜とがあります。
野菜栽培で肥料は必要なものですが、注意しなくてはならないのは肥料の与えすぎです。肥料を与えすぎると病害を助長する原因となり害虫の被害にも遭いやすくなってしまいます。(参考:肥料(追肥)の基本知識)
コンパニオンプランツで最も有益なのが、土壌細菌の相乗効果です。
例えばキュウリとネギの組み合わせ、ネギの根には病原菌を防ぐ「拮抗菌」が繁殖しますが、この菌はキュウリの病害を予防する効果があります。
法則2 野菜の特性を活かす
単子葉植物と双子葉植物の組み合わせ
ピーマンやシシトウなどは発芽時に双葉をつける双子葉植物といい、ニラやネギ・サトイモなど発芽時に双葉をつけないものを単子葉植物といいます。
両者は根粒微生物が違うため、生長時に利用する肥料(養分)も違うため同じ場所に植えても基本的には競合しません。
深根野菜と浅根野菜
根を張る深さが違う野菜どうしはコンパニオンプランツの法則に当てはまります。
例えば、深根タイプのホウレンソウと浅根タイプのネギなどは水分や養分を奪い合わないため混植におすすめの組み合わせです。
草丈が高い野菜と低い野菜
野菜にとって光は成長する上で不可欠です。ただし品種によって必要とする光量が違うため、背の高い野菜と低い野菜をうまく組み合わせることで最適な環境を作ることができます。
例えば、夏場が苦手な草丈が低いコマツナなどを草丈の高いナスやピーマンの陰になるように植えると夏でもコマツナを栽培することができます。
その他にもサトイモの陰に日陰を好むショウガを植えるなどがあります。
相性の良い野菜の組み合わせの代表例をご紹介します!さらに詳しい組み合わせはページ最下部をご覧ください。(こちらをclick!)
*組み合わせ表のブログやYouTube等での無断利用や転載はご遠慮ください。野菜の品種 | 野菜名 | 期待できる効果 |
イチゴ | ムギ | アブラムシ退避 |
インゲンマメ | ナス・ゴーヤー | 生育が良くなる |
エダマメ | サツマイモ | 生育が良くなる |
サヤエンドウ | タマネギ・ニンニク・エシャロット | 生育を抑制する |
カブ | サヤエンドウ | 共に生育が良くなる |
カリフラワー | セロリ | 生育が良くなる・モンシロチョウを駆除 |
サルビア | アオムシ・ヨトウムシ・コナガ駆除 | |
レタス・リーフレタス | アオムシ・ヨトウムシ・コナガ駆除 | |
カボチャ | ネギ類 | 青枯れ病と萎凋病予防・センチュウ抑制 |
キュウリ | サヤエンドウ・ソラマメ・エダマメ | 生育が良くなる |
ネギ類 | 青枯れ病と萎凋病予防・センチュウ抑制 | |
トウモロコシ | 生育が良くなる | |
ダイコン | ウリバエを防除する | |
キャベツ | マメ類(サヤエンドウ・ソラマメ・エダマメ) | 生育が良くなる |
テーブルビート | 生育が良くなる | |
ミニトマト・トマト | モンシロチョウを駆除 | |
レタス・リーフレタス・シュンギク | アオムシ・ヨトウムシ・コナガ駆除・雑草防除 | |
早生キャベツ | 早生ジャガイモ | 共に生育が良くなる |
ジャガイモ | ソラマメ | 共に生育が良くなる(特にソラマメ) |
サヤエンドウ | 共に生育が良くなる | |
トウモロコシ | 共に生育が良くなる | |
キャベツ | 共に生育が良くなる | |
スイカ | ネギ類 | 青枯れ病と萎凋病予防・センチュウ抑制 |
スティックセニョール | サルビア | アオムシ・ヨトウムシ・コナガ駆除 |
レタス・リーフレタス | アオムシ・ヨトウムシ・コナガ駆除 | |
ダイコン | ニンジン・レタス・リーフレタス | 害虫退避効果 |
タマネギ | カモミール | 害虫防除・生育が良くなる |
チンゲンサイ | シュンギク | アオムシ・ヨトウムシ・コナガ駆除 |
トウモロコシ | サヤエンドウ | 共に生育が良くなる |
エダマメ・ラッカセイ | アワノメイガの駆除効果 | |
ミニトマト(トマト) | ラッカセイ | 共に生育が良くなる |
ニラ | 土壌病害の発生を抑制する | |
バジル | 害虫退避効果 | |
セロリ | タマネギ | 共に生育が良くなる |
ピーマン | つるなしインゲン | 害虫退避・共に生育が良くなる |
ホウレンソウ | 葉ネギ・九条ネギ | 害虫駆除・萎凋病予防 |
ニンジン・ゴボウ | 生育が良くなる | |
マクワウリ | トウモロコシ | 生育が良くなる |
葉ネギ | 土壌の病害予防・生育が良くなる | |
ニンジン | レタス・リーフレタス | 共に生育が良くなる |
アブラナ科の野菜 | 害虫退避・共に生育が良くなる | |
タマネギ | タマネギバエ・ニンジンバエを駆除する | |
エダマメ | 共に害虫防除・共に生育が良くなる | |
レタス | キャベツ・ブロッコリー・コマツナ | 生育が良くなる・雑草抑制 |
ニンジン | 共に生育が良くなる |
コンパニオンプランツの組み合わせを色々と紹介しましたが、ここで紹介した組み合わせ以外にもまだまだあります。
自分で組み合わせを発見したときは何とも言えない喜びがあります。コンパニオンプランツを探すことを野菜作りの楽しみの一つにしてみてはいかがでしょうか。
最後に自分でコンパニオンプランツを発見するヒントをお教えします。
コンパニオンプランツを考えるときは、野菜名ではなく科目で考えることです。
例えばキャベツ・ブロッコリー・コマツナは姿かたちは違いますが、同じアブラナ科の野菜です。
つまり、キャベツとレタスの寄せ植えができるように、ブロッコリーもコマツナもレタスと寄せ植えができるというわけです。
ネギやニラ・ニンニクなどユリ科の野菜の根に共生する微生物からは病原菌の繁殖を抑制する抗生物質が出ているため、ナス科のナス・トマト・ジャガイモ、ウリ科のキュウリ・ニガウリ(ゴーヤ)・マクワウリと混植が最適な組み合わせです。
ウリ科の野菜のつる割れ病やナス科の野菜の青枯れ病の抑制に繋がります。ユリ科の野菜の根はひげ型で浅く張るためウリ科やナス科の深い根と競合することはありません。
ただし、キク科のレタスやリーフレタス・マメ科のエダマメ・アブラナ科のハクサイやテーブルビートは根が競合するため少し離れた場所に植えるようにしましょう。
マメ科の野菜(エダマメ・サヤエンドウ・)の根には根粒菌などが共生するため根から養分をもらって空気中の窒素を土中に固定する働きがあります。
またマメ科の野菜はリン酸を吸収しやすい形に変えるため様々な野菜と相性がいいのですが窒素分やリン酸を必要とする野菜との混作がおすすめです。
ただし根が干渉する野菜との混作は一定の間隔を空けて植えましょう。
キク科やセリ科・シソ科の野菜は多くの害虫に対して退避効果があります。特にアオムシ系・アブラムシ系に効果的です。
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